建物を長寿命化させる大切なこと

「防水」は、漢字が示すように「水を防ぐ」ことです。建物は雨風や雪を防ぎ、冬の寒さや夏の炎天下などの過酷な自然環境にさらされながらも、私たちの暮らしをしっかり守ってくれています。なかなか建物が破損してしまう場面を想像できるものではありませんので、今後もその安心は維持されていくものと感じてしまいがちです。それは防水においても同じです。

残念ながら全てものに当てはまることですが、時間が経つごとに少しづつ劣化がはじまります。建物も建てられた時から時間が経つことで、少しづつ防水性能が弱まってしまいます。そして弱まった部分から水が浸入する可能性が高まり、いずれ侵入した水が建物を弱らせ、室内に被害を起こすことにつながってしまいます。ここでは普段知る機会のない防水についてご紹介します。

知ってほしい3つのこと

防水しないとどうなるのか? なかなか知ることが出来ない気になる防水にまつわることを、3つのポイントとしてご紹介します。

防水の必要性

防げないとどうなる?

防水の耐久性

防水効果はいつまで?

最適な防水対策

防水に違いはある?

01.防水の必要性

建物には水の侵入(雨漏れ)を防ぐために「防水層」が設けられています。この防水層に何か不具合が起こることで雨漏れが発生していまいます。

ではなぜ雨漏りを防ぐ必要があるのでしょうか?
それは雨漏りが原因で起こる建物や建物内に発生するさまざまな被害が考えられるからです。

  • 柱や壁などの腐食による、建物全体の傷みの進行や耐久力の低下
  • カビやダニの増殖による異臭の発生やアレルギー・喘息などの健康被害
  • 家具や家電、事務機器など汚染や破損
  • 漏電による機器の破損や火災の発生など
ビルに降る雨

雨漏りが目に見える状態は、すでに被害が発生してしまっている状態です。また状況によって目に見えなくても雨漏りの被害が発生している場合もあります。被害が発生してからでは、元の状態を戻すために通院や修復などの大きな負担がかかることが考えられます。そうなってからでは大変です。
大きなトラブルに発展する前に、そして建物を長く維持し快適な生活を守るためにも、建物の防水について検討していただければと思います。

02.防水の耐久性

マンションの共用イメージ

建物への水の侵入(雨漏れ)を防ぐ「防水層」は、時間が経つことにより利用環境や自然環境の影響を受け、その防水性能は少しづつ低下してしまいます(経年劣化)。

どれくらいで防水性能が危険な範囲になってしまうのでしょうか?
それはどのような方法で「防水層」を作っているかによって、耐用年数(何らかの原因で防水層が損傷し、雨漏りのが発生するまでの期間)が異なります。

防水塗装を塗ることで防水する「塗膜防水」では約10年。よく利用される「アスファルト防水」でも約13年から17年と言われています。

主な防水の種類耐久年数の目安
塗膜防水約10年
シート防水約13年
常温積層アスファルト防水約13~17年
改質アスファルト防水約13~17年
アスファルト防水約13~17年

ただし利用環境や自然環境の影響により、防水性能の耐久性は変わってきます。利用頻度が高い、または過酷な環境が続いた場合などは、その分性能の低下も激しくなり、その分寿命も短くなってしまいます。

どのような工法で防水処理が行われて、現在はどのような状態なのかを把握することがとても重要です。そして定期的な防水層の状態把握とメンテナンスが、建物を長持ちさせる、快適な生活を守る秘訣です。

03.最適な防水対策

一口に防水といっても、水の侵入を防ぐ方法はさまざまです。
現在の防水工事では、大きく分けて防水シートを貼る方法と、防水塗装を行う塗る方法、そしてその二つに利点を備えた塗る+貼るの方法があり、建物の環境や要望に合わせた工法で防水工事を実施しています。

防水工事を行う場合、建物全てが同じ方法で防水処理を行えるわけではありません。それは建物の箇所によって、求められる機能や耐久性が異なるからです。

例えばベランダやマンションの共有部分のように、普段から人が利用することが考えられる場所と、人が入ることのない屋上ではどうでしょうか。人の利用や往来がある共用部分では、人の通行による衝撃や摩耗がある分、人の利用がない屋上と比べ、どうしても防水性能の低下が大きくなってしまいます。

防水シートのイラスト

また選ぶ工法によっては工事期間が長くなることがありますので、店舗などの場合は営業時間にも影響が出てしまうことも考えられます。

建物の状況や利用される環境に合わせて、費用や工期などから最適な防水方法を選ぶことは、工事による普段の生活への影響を最小限にすることにつながり、さらには建物の防水性能の維持にもつながります。また数年後の補修や改修の際にも、工期の短縮や費用の軽減という形で現れる場合がありますので、防水工事を行う上での大切なポイントです。